新年度をむかえ、生活や仕事の環境が変わり、日中も眠気があり倦怠感が強い、どうも熟眠感に欠ける、心身ともに疲れが取れず気が塞ぐ…などの不調をお感じになっている方もいらっしゃるかも知れません。しかし、その不調は本当に疲れや緊張だけによるものでしょうか? その陰に、睡眠時無呼吸症候群(以下SASと略)がかくれているかも知れません。
2003年に新幹線の運転士が業務中に居眠り運転をした件が報じられてから、この病気の名前を知るようになった方もいるかと思います。SASはそれ自体が健康に大きく影響するとともに、眠気や集中力低下に関連した労働災害や交通事故件数を非常に増加させるという社会的な問題もはらんでいます。
ここでは、SASを疑わせる症状や検査法などについて、簡単に述べたいと思います。
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●起きている時
日中の過剰な眠気、記憶力や集中力の低下
起床時の頭痛、頭重感
性格の変化、抑うつ状態(苛々しやすい、逆に無頓着になる、漠然とした不安を感じるなど)
性欲低下、性機能障害
●寝ている時
繰り返すいびきと呼吸停止(いびきを伴わない場合もある)
不眠、途中で目が覚める(無呼吸のせいで睡眠が途切れる)
夜中によくトイレに起きる
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以上のような症状が気になる方には、睡眠検査をおすすめします。現在の保険診療上は、まず自宅で行える簡易睡眠検査で評価し、そこでSASの可能性が高いと判断された場合は、検査のできる病院に一泊程度入院して終夜睡眠ポリグラフ検査を受けて頂くという流れになります。病院では主に呼吸器内科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科などが携わってきます。簡易検査を行っている医院もありますので、病院やかかりつけ医に一度ご相談ください。
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●簡易検査
検査機械を貸し出し、自宅で行います。費用は三千円です。
●入院検査
個室に一泊程度入院し、全身にセンサーを付けて睡眠状態を詳しく評価します。三〜五万円かかる施設が多いようです。
検査の結果から睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、その重症度に応じて治療法を検討します。
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睡眠中の無呼吸自体で即死することはありません。ではなぜ治療が必要なのでしょう? それはSASが高血圧や糖尿病、多血症(血液が濃縮する)、さらに虚血性心疾患や脳血管障害といった至死的な病気とも深い関係があると考えられるためです。
また先に述べたように、労働災害や交通事故の危険性も高くなるという社会的側面も見逃せません。お心当たりの方は、ぜひ一度診察を受けてみましょう。
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